備えというのは難しいものだ。

 

 

残業続きで疲労度MAXだった。

昨日は夕飯も口にせず、風呂にも入らず、とにかく睡眠欲を盈たすため

帰宅したその足のままソファーに雪崩れ込んで寝た気がする。

 

さすがに、制服も脱がず風呂にも入らずだったので

ベッドに入るのは気が引けてその場所を選んだのだと思う、が。

 

昨日に戻れるなら脳を揺さぶり起こしてでも自分をベッドに寝かせる。

 

午前2時頃、ガタガタという大きな音とともに

身体が揺さぶられ、その直後、顔横に置いていた携帯から

けたたましい警報音が鳴り響いたことで飛び起きた。

 

「やべえ、揺れてる!うあああやべえええええええええ」

 

口からそんな言葉は出るものの、疲れた身体はそれに追い付かず

ただソファーに腰掛けながら、足許で爆睡したままの愛犬を眺めていた。

 

何分築年数の経過しきった団地造りの建物であるから、

ごく日常的に発生する震度2程度の地震でも、割と大きく揺れる。

今朝方の地震は震度4だか震度5弱だか、そのくらいだったため

愛犬を眺めながら口先だけで慌てている私の頭上に設置された

壁掛け時計が、文字通り脳天を直撃した。その音でやっと愛犬起床。

 

じんじんとした痛みに耐えながら、公共放送を確認。

同時に、青い鳥がさえずっているツールを開いてそちらも確認。

 

とりあえず目も覚めたし風呂に入りたかったんだけど

地震に慣れていない地域のため、余震や火災のことを考えると

もしこの後余震が来て、避難することになったときに

私は全裸で逃げることになるかもしれない……!とか怯えてるうちに

空が白んできて、結局そこから慌てて風呂へ駆け込んだわけだが。

 

 

備えあれば憂いなし、とは言うけれど。

やっぱりこういう災害的なものって、起きてみないと恐れない。

3年前の震災以降、関東在住者は震度4程度の地震であれば

割と落ち着いているなんて聞いたこともあって、正直それほど

大きな揺れじゃないのかもしれない、なんて思ってたりもした。

 

昨晩のあの揺れですら、暫く緊張して怯えてしまったのだから

震度7なんて、私には到底想像も出来ない。多分私の家全壊するわ。

なかなか実行は難しいとはいえ、少しは備えておかないと。

 

 

朝、窓から避難しようとして怪我をしたおっさんとか

慌てて階段から転げ落ちたおばあちゃんとかがニュースになってて

これはきっと、壁掛け時計で頭頂部を負傷した私が

けが人に含まれてもおかしくないんじゃないか?と思った。